『最後の一枚の紅葉』(東方外国文学合同「メーティスの雫」収録作品)

▼作者:完熟オレンジ氏
▼発表形態:同人誌
▼登場キャラクター:秋姉妹

 

 秋姉妹の短編小説です。元ネタは、タイトルは知らないけれどシチュエーションだけはやたら有名なオーヘンリーの『最後の一葉』。「あの葉っぱが散った時、私の命も散るんだ」って病気の子が言ってるあれですね。元ネタの方のオチも曖昧だったので、新鮮な気持ちで読めました。主人公の秋姉妹の姉、静葉はライバル? である冬将軍に冬の刀で斬りつけられ、病床に着いてしまいます。甲斐甲斐しく姉の看護をする穣子の心配を他所に、静葉は「あの紅葉が全て散った時、私の命も尽きる」と言って、穣子を困らせてしまうという筋なのですが、まぁオチは本編にて確認してください。
 個人的には秋姉妹の哀れなくらいの貧乏くささの描写が実に面白いと感じます。神様なのに、安アパートにて暮らし家賃を払うためにせっせと内職をして、それでも大家のカッパに怒られたりもする。本当に彼女たちは神さまなんでしょうかね。豊穣の神さまとか需要ありそうなもんですが(求聞口授には豊穣の神はその分、数が多いから一人当たりのありがたみは薄いとかかいてましたね)。でも秋姉妹にはそういう貧乏くささがピッタリだと思います。そういう二次創作も多いですしね。オリキャラ冬将軍と隣に住んでる天狗もいい味だしてます。一つの短編で出番が終了してしまうのが惜しいくらいです。